2020年05月14日 切り取る一瞬、裁ち切る数月 卓袱台にぺちりと置かれたそれは一枚の大判写真というべきか、掌の二周り程の大きさの写真であって、其処に写るは妙齢な黒髪映える女性が独り。「道中拾った。誰かは知らん」 そうして茶を啜る魔理沙を他所に、私の視線はその女性から動かすほどが出来ないほどに、こう表したら陳腐なそれなのやもしれないが、何か猛烈に心を奪われ、ついでにその後の言葉をも奪われては何処か呆然とそれを見詰めるのであった。続きを読む タグ :博例霊夢霧雨魔理沙地の文
2020年05月11日 一日先生、上白沢美鈴 どうせ暇を貰うのだから、空は青く澄み渡る様な晴れの日であって欲しいと思う願いが通じた様に、いや、主の手前そんな事を願うのは有りなのか無しなのかはこの際置いといて、お天道様が聞き入れてくれた心地よい日差しの中、里をるんるんと闊歩してみれば面々何だかその陽気に中てられた様な顔をしているので、それにつられるかの如く私もついつい頬が緩んでしまうのも仕方が無い事なのである。 続きを読む タグ :紅美鈴上白沢慧音十六夜咲夜藤原妹紅パチュリー・ノーレッジレミリア・スカーレット地の文
2020年05月06日 十字と杭と日光と、それから毒も 「ごちそうさまでした」 てきぱきと自分の食器を揃え配膳台へと運ぶのは意外にもこの館の主、レミリア・スカーレットその人である訳なのであるが、温くなった紅茶を飲み干してはこれまたそわそわと他の面々が食べ終わるのを待ちきれないといった様子で、いや、待つことには変わりはないのだが、ぴくぴくと羽を震わしながらそれを待つのであった。続きを読む タグ :レミリア・スカーレットパチュリー・ノーレッジ紅美鈴小悪魔フランドール・スカーレット十六夜咲夜地の文
2020年04月23日 一日門番、紅慧音 「頭が痛い」 生ぬるくなった茶を啜りその渋さをどこか他人事の様に感じながら、ぽつりぽつりと呟いてみる。「別に嫌だとかそういうわけではなくてだな。自分で選んだ役目だからな。そこについては何も問題はない」続きを読む タグ :上白沢慧音紅美鈴十六夜咲夜藤原妹紅地の文
2020年04月16日 此方の私と、彼方のあなた ※東方projectです。 ※地の文です。 「じゃーん」 そう言うと魔理沙が後ろ手からこちらに見せてきたのは、片手にちょうど収まるほどの球だった。続きを読む タグ :博麗霊夢霧雨魔理沙地の文
2016年09月20日 そんなものだよ、慧音女史 ※東方projectです。※地の文です。 どうしてだろうか。 私はちゃぶ台を挟んだ対面に胡座をかく妹紅を見ながら、考える。 どうして妹紅は、よく胡座をかくのだろう。 続きを読む タグ :上白沢慧音藤原妹紅地の文
2016年07月24日 湯気立つ想いは、万薬越えて ※東方projectです。※地の文です。 かちゃ。 かちゃかちゃ。 木製のお玉が白い土鍋の内側をなぞり、音を立てる。 続きを読む タグ :博麗霊夢霧雨魔理沙地の文
2015年12月20日 二点、八点、紅魔館 ※東方projectです。※地の文です。「えっと、咲夜ちゃん」 部屋に流れるなんとも間の抜けた静寂。普段から気の張った部屋という訳でもないが、今の美鈴の部屋には特段居心地の悪い気を感じる。 そんな静寂に肌を刺されながら、美鈴は頬を二、三度掻いた。続きを読む タグ :十六夜咲夜紅美鈴レミリア・スカーレットパチュリー・ノーレッジコメディ地の文